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日本市場における医薬品販売後の「安全性監視」は、規制対応の枠を超え、企業の信頼性やレピュテーションそのものに直結する極めて重要な業務です。特に、初めて日本で製造販売後調査(PMS)を実施する外資系製薬企業にとっては、その複雑さと専門性の高さが大きな壁となるのが実情です。

本記事では、PMS(Post-Marketing Surveillance)支援サービスの価値、提供内容、なぜ今ニーズが高まっているのか、そしてその市場規模と今後の展望について詳しくご紹介します。


1. 製造販売後調査(PMS)とは

製造販売後調査は、薬機法に基づき、医薬品や医療機器の販売開始後に実臨床下での有効性・安全性を継続的に確認する制度です。具体的には以下のような調査があります。

  • 特定使用成績調査
  • 全例調査
  • 使用成績比較調査
  • 指定医療機関調査

これらは、厚生労働省及びPMDA(医薬品医療機器総合機構)の求めに応じて計画・実施され、定期的な報告義務があります(PMDA, 2023)。

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2. 初めてPMSを実施する企業の課題とは?

外資系企業のよくある悩み

  • PMSの制度そのものが不慣れ(欧州・米国ではRWEや市販後試験の考え方が異なる)
  • PMDAとの交渉経験が少ない
  • リスクマネジメント計画(RMP)と整合性を取れない
  • どのCRO(開発業務受託機関)を選べばいいかわからない
  • 調査票や解析計画の作成ノウハウが足りない
  • 社内業務ツールや報告体制が整っていない

これらは、単に人手やリソースの問題ではなく、「日本特有の薬事・安全性監視文化」への対応力が問われる領域です。


3. コンサルティングサービスの支援内容

「PMS立ち上げ支援サービス」では、以下のようなステップを包括的に支援しています。

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(1)リスクマネジメント計画(RMP)の策定支援

PMS設計の前提となる「リスク最小化策」として、RMPの内容を日本市場に最適化し、PMDAへの適切な提出書類として整えます。

(2)PMDA相談・照会対応

製造販売承認後の照会事項対応、PMDAへの事前相談(電子相談・対面助言)に同席・助言を行い、当局との良好なコミュニケーション構築を支援します。

(3)調査計画・項目設計・解析支援

  • 調査対象患者の定義
  • 評価項目(有効性・安全性)の設計
  • 中間解析・最終解析計画の作成
  • データマネジメント仕様の策定

(4)CRO選定・マネジメント

信頼性のある国内CROと提携し、価格交渉・スコープ調整・タイムライン設計を代行。また、PMSに強いCROと弱いCROの見極めを行います(Deloitte, 2023)。

(5)社内業務整備・業務フローの構築

  • PMS実施に必要なSOP整備
  • 安全性情報の社内承認ワークフロー
  • 調査票の保管・改訂管理体制

これにより、法令対応だけでなく、品質の高い調査結果を確実に残せる体制を整えます。


4. なぜ今このサービスが求められているのか?

(1)規制強化とPMDAの監査強化

近年、PMDAはPMSの運用体制に対する審査や監査を強化しており、特に「実施体制が不明確」「記録の保管が曖昧」な企業に対しては承認の遅延や行政指導が入るケースも増えています(PMDA, 2023)。

(2)Real World Data活用との融合

PMSデータは、医薬品再評価やリアルワールドエビデンス(RWE)の基礎データとしても活用されます。つまり、PMSは単なる義務ではなく、マーケティングや戦略策定に活かせる重要資産となるのです(BCG, 2024)。

(3)グローバル企業の日本参入加速

2025年以降、複数のバイオテック企業やデジタル医療系ベンチャーが日本での事業開始を検討しており、PMS経験を持たない企業が急増しています(PhRMA, 2024)。この層に対する支援ニーズは拡大の一途をたどっています。


合調査の普及に伴い、支援領域はさらに拡大すると考えられます(IQVIA, 2023)。


5. サービスの特徴まとめ

  • 日本初のPMS実施をトータルで支援
  • PMDA相談対応・照会対応の専門家が在籍
  • CRO選定から社内体制構築までワンストップ
  • 薬事・安全性の両面から対応可能なハイブリッドコンサルティング
  • PMS支援 × IT業務ツールの整備で効率化とコンプライアンスを両立

まとめ:製造販売後調査支援は、義務対応から戦略資産化へ

PMSの支援は、単なる規制対応ではなく、「医薬品の信頼性」「当局との信頼関係」「企業レピュテーション構築」の礎です。特に、初めてのPMS実施を迎える外資系製薬企業にとっては、専門知識と日本市場への深い理解を持つパートナーの存在が成功の鍵を握ります。

製薬業界における競争力の源泉が「品質と信頼性」にある限り、PMS支援コンサルティングの重要性は今後さらに高まっていくでしょう。


参考文献

  • PMDA (2023) Guidelines on Post-Marketing Surveillance Procedures. 医薬品医療機器総合機構.
  • BCG (2024) Harnessing Real World Data for Pharma Strategy. Boston Consulting Group.
  • Deloitte Japan (2023) PMS Operational Maturity Benchmark Survey.
  • PhRMA (2024) Annual Report on Global Pharma Investment Trends.
  • IQVIA Institute (2023) The Role of RWD and PMS in Asia-Pacific. IQVIA.

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投稿者

ryuta@socraticincorporated.com

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